医学雑誌にアクセプトされる論文を最速で書く方法3—図表の作成

こんにちは。アメリカ生活4年目のメディカルライター、メディカル翻訳者のYukaです。

シリーズ3回目は、図表について書きます。まだまだ本文は書き始めません。

私がはじめて医学論文(症例報告)を書いたのは20年くらい前です。当時の指導医から「とりあえず図表を作ってみて」と言われたのを今でも覚えています。

忙しい研究者は論文の図表しか見ないこともあるので、それだけで内容が伝わる、self-explanatoryな図表を作成することが大切です。

表の作成で全体の流れをつかむ

表の準備に予想以上に時間がかかることが多いので、結果が出ているのであれば早めに作り始めます。

メディカルライティングの仕事では膨大な量のデータを渡されることも多いので、何を表にするか決めるだけでも時間がかかります。また、焦っていると数値の入力ミスなども増えてしまいます。そういう点でも、正確性の求められる表を時間に余裕のある段階で作っておくと後から楽です。

表に結果をまとめていく中で、頭に論文のストーリー展開が浮かんでくるというメリットもあります。

また、表を作りながら英語の表現を考えを、本文を書くときにも同じ表現を使うことで、用語を統一することができます。私は翻訳をするようになってから「用語の統一」を意識するようになったのですが、重要な用語がぶれないようにすることで、読者に伝わりやすい論文になります。

表の下につける注釈や略語表記も、この段階で作成しておきます。

いらないかもしれないと思う表でも、Supplementary Tablesになる可能性もあるので余裕があれば作っておきます。

図の作成の基本はExcelとPowerPoint

表に比べると図はあまり大変ではないことが多いです。Author Guidelinesをよく見て、どのような図が必要か確認します。たとえば、Boxplot with individual data points(散布図を重ねた箱ひげ図)のように、すべてのデータの分布が見える図が必要とされる場合があります。

私の場合、Resultsに使う図はExcelで作成してから、PowerPointに貼り付けることが多いです。Excel上でできるだけ完成に近い状態まで調整してからPowerPointに貼り付けた方が、後から変更する場合にもExcel上での修正作業が少なくてすみます。

上記のBoxplot with individual data pointsのような複雑な図はExcelでは作れず、別の統計ソフト(R、JMP、Prism)などが必要になります。メディカルライティングの仕事では図は著者から提供されることも多いため、ライターがそれらのソフトを使う必要はあまりないと思います。

今回は図表の書き方について紹介しました。

次回はいよいよ本文の書き方です。

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