memoQを使いやすくカスタマイズする

こんにちは。メディカルライターとメディカル翻訳者のYukaです。

先日の記事で書いたように、初めてmemoQを使うお仕事に取り組みました。試行錯誤しながらなんとか使えるようになったので、こんなカスタマイズができるよ、という視点で機能をまとめておきたいと思います。この先、もっと使いこなしていきたいものです。

今回は、エージェンシーからライセンス付与でプロジェクトのパッケージを受け取りました。自分のライセンスをお持ちの方には、当てはまらない点があるかもしれません。

memoQの基本的な情報

  • デスクトップ型のCATツールでWindowsが必要(普段Macを使っている人は、別に「Parallels」などWindowsを仮想で動かせるシステムとWindowsを購入する必要があります)

  • Tradosと似ているが、TradosよりもUIが改善されて、直感的に使えるようになっている

  • カスタマイズすることで快適に使えるようになる(カスタマイズしないと使いにくく、逆にこうだったらいいなと思ったことは変更できる)

  • クラウド型のPhraseやSmartCatと比べると反応が遅い(サーバーとの同期トラブルが発生することがあります)

  • 日本語で書かれた役立つマニュアルが公式サイトにある(わからないことがあっても、こちらを読むことでほとんど解決できました)

言語設定のカスタマイズ

最初にダウンロードしたときはシステム全体の設定が英語だったので、日本語に変更しました(オプションー表示の「ユーザーインターフェースの言語」)。

Tradosのときも思ったのですが、慣れないシステムを使うときは表示やマニュアルを日本語にしたほうが楽です。ただ、海外のPMさんとのやり取りで自分の画面のスクリーンショットを送るような場合は、英語に戻したほうがいいと思いました。

翻訳リソース

Tradosとの大きな違いは、用語ベースと翻訳メモリが同じ場所に表示されることです(翻訳結果ペイン)。色の種類が多いため、最初は何が何を指しているのかわかりにくいです。

特に、対訳がページの下にくるレイアウトを使っていると、翻訳メモリの数が多い場合に用語ベースが下の方に隠れてしまい、スクロールする必要があります。Phraseなどのクラウド型CATツールのほうが、画面のレイアウトが固定されていて、全体像を把握しやすい印象があります。

翻訳作業に関するカスタマイズ

快適な翻訳作業に必須だと思うカスタマイズや機能について、リンクと合わせてまとめておきます。

  • 一括ビューで複数のファイルをまとめて翻訳(ビューの作成

    これはかなり便利な機能だと思っています。たとえば400ワードのファイルが40個あった場合、1つずつ翻訳していくと、後から用語を一括変換したい場合などにファイルを開閉する手間がかかります。TMやTBはファイルをどんなビューで開いても適用されますが、ある程度の分量をまとめて表示するほうが効率よく作業を進められます。

ただ40個のファイルをひとつのビューにまとめると16,000単語になり、翻訳していても%がなかなか進まないのでゴールが見えない気持ちになることがあります。

そこで私の場合は、ファイルの名前から同じ種類と思われるものなど、適当なところで1〜2日で終わる分量のビューを作るようにしました。たとえば4,000単語のビュー4個というような感じです。こうすることで、締め切りまでのスケジュールを考えながら作業を進めることができます。

  • 対訳がページの下にくるように画面表示を変更(翻訳エディタの「翻訳エディタのレイアウトを変更する」)

  • フォントの種類と大きさを変更(オプションー表示の「翻訳エディタでフォント、フォントサイズ、色を変更する」)

  • 翻訳しながら用語ベースを作成(用語ベースエントリの編集

    大きなプロジェクトではこの機能を利用するのとしないのでは効率が全く違います!

エージェンシーからライセンス付与されているプロジェクトの場合は、「自分の用語ベース」をサーバー上(オンライン)ではなくデスクトップ上(マイコンピュータ)に新たに作り、そこに用語を追加していく必要があります。クライアントやエージェンシーの用語ベースはたいていロックされて変更できないからです。

自分の用語ベースは「プロジェクトホーム」のタブにある「用語ベース」で「新規作成」→「マイコンピュータ」を選ぶことで作成できます(言語ペアは自動でプロジェクトの設定と同じになっている)。

ここで注意するのは、自分の用語ベースを作ったあとに、それを「新規用語のターゲットにする」(新しい用語ペアを追加する場所にする)という設定にすることです。デフォルトではクライアントの用語ベースが「新規用語のターゲット」になっているため、自分の用語ベースを作っただけでは新しい用語ペアを追加していくことができません。

自分の用語ベースを使う際の注意として、Phraseなどでは英単語の大文字・小文字などを区別せずにあいまいに登録できる設定がデフォルトですが、memoQの場合は「クイック追加」のデフォルト設定は言語の大文字・小文字を区別することになっています。そこでクイック追加を使わずに毎回用語ベースエントリで操作するか、またはクイック追加の設定自体を変更する必要があります(新規用語の既定値)。

また、QAの時に自分の用語ベースも対象になってしまうので、翻訳中に参照するためだけに追加した(場所によって意味が変わる)用語は、QA前に用語ベースから削除しておいたほうが、QAの手間を減らすことができます。

初めてのCATツールを使う場合の注意点

今回は初めてのmemoQだったにも関わらず、割と大型の案件でした。慣れないmemoQの設定に時間をとられて、翻訳作業がなかなか効率よく進められず、締切に間に合うかどうか最後まで不安でした。

新しいツールを使う場合は、小さめの案件から始めるか、一日あたりの単語数をいつもよりも少なく見積もる必要があると反省しました。

私の場合は、セカンドモニターはMacのままでウェブや辞書を検索、メインモニターはWindowsでmemoQを使って翻訳、という状況のため、WindowsとMacでキーボードやショートカット(フォント切り替え)の操作を毎回切り替えるのがストレスでした。脳トレにはなるのですが、いつもより翻訳スピードは落ちてしまいます。

翻訳者さんの多くがWindowsを使っているのは、きっとこれを避けるためなのですね。私はやはりMac派なので、この問題はこれからも続きそうです。

Previous
Previous

memoQの変更履歴ビューのカスタマイズ

Next
Next

書類について思うこと