フリーランス医師という言葉から感じること

こんにちは。メディカルライター&内科医のYukaです。

フリーランス医師という言葉を聞いたことはありますか?

勤務医や開業医ではなく、非常勤医として働く医師を指す言葉で、ここ数年間で広まったようです。「フリーランス医師」と検索すると、フリーランス医師をしている本人のブログやSNSよりも、アルバイト派遣会社や転職サイトの記事が目立ちます。そこに描かれているフリーランス医師のイメージに疑問を持ったので、そのことについて書きたいと思います。

派遣会社や転職サイトの記事は、フリーランス医師と常勤医師を比べて、そのメリットとデメリットを紹介しているものが多いです。私が気になったのは、フリーランス医師の年収についての計算方法です。

調べていただくとすぐにわかりますが、業務内容や経験年数にもよりますが、医師のアルバイトの時給は1万円前後が多いです。これをもとに「1日8時間週5日働く場合にはフリーランス医師の年収は約2000万となり、常勤医よりも多い場合もある」とまとめているサイトが目立ちます。

ちょっと待って、と言いたくなりました。なぜフリーランス医師が、常勤と同じように週40時間働くと想定するのでしょうか?他にやりたいことがあったり、やらなければいけないことがあったりして、フリーランスの働き方を選んだとは考えないのでしょうか?

日本では、フリーランスという言葉に「責任感がない」とか「楽をして稼いでいる」などネガティブな印象を持つ人がまだまだ多い中で、「非常勤医師」ではなく「フリーランス医師」と呼ぶことによって、医師が多様な働き方をすることに対してネガティブなイメージを植え付けている気もします。

「フリーランス医師」といってもバックグラウンドは同じでなく、子育てなど自分以外の事情によって常勤を務められない人もいるだろうし、私のように他にやりたいことができた人もいると思います。楽に稼ぎたいと思ってフリーランス医師になる人がどれくらいいるのでしょうか。(実際、いくつも違う病院でアルバイトするのは、常勤と比べて決して楽ではないと思います。)楽して稼ぐのが目的なら、むしろ現状維持のままquiet quitting(辞めることはないが必要最低限の仕事のみしている状態)を選ぶのではないでしょうか。

今回「フリーランス医師」と検索してみて、情報の少なさと偏りに気づきました。多様な働き方をしている医師同士が情報を共有したり、相談しあえる場があればいいのにと思いました。

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