フリーランスを始めたきっかけ
こんにちは。メディカルライター&医師のYukaです。
今日は、私が研究をやめてフリーランスを始めるきっかけとなったできごとについて書きたいと思います。
アメリカに行って最初の2年間はサンディエゴの研究所でポスドクをしていたのですが、家族の都合でニューヨーク行きが決定し、次の就職先を探すことになりました。
ポスドクを続けるつもりでいたので、ある研究室のPIとメールで連絡を取り、オンラインで面談をすることになりました。自分がそれまでやってきた研究について説明し、PIからの質問にもなんとか答えることができていたのですが、最後になって「この研究室ではみんな夜遅くまで研究に打ち込んでいる。君にはその覚悟があるか?」というようなことを聞かれました。
当時は子どもが小中学生だったこともあり、夕方5時までには研究所を出て、子どもをアフタースクールに迎えに行って帰宅する生活をしていました。サンディエゴのPIはマイクロマネジメントの対極にあるような人で、いつ来ていつ帰っても構わないというスタンスだったので、自分のペースで研究することができていました。
ニューヨークでもそんな生活を続けることを想定していたので、「夜遅くまで」というPIの言葉を聞いて、急速にやる気が失われていくのを感じました。長時間ラボにいることが評価される世界ではやっていけない。
PIの期待に応えるような働き方はできないと思い「プライベートのことを話すのは気が進まないですが、子どもがいるので、長時間働くことが期待されるラボではやっていけないと思います」と断りかけたところ、PIは急な展開にびっくりしたのか「ラボにはシングルマザーで子育てしている人もいるし、大丈夫だろう」というようなことも言ってくれました。
実際アメリカでは、ポスドクが夜間休日も働かされるラボの方が一般的で、どういう環境なのかをあらかじめ教えてくれたPIはむしろ誠実な人だったと思います。ただ、一度冷めてしまった思いはもう戻ってくることはなく、そこからはずっとフリーランスとして働いています。
常勤をやめてフリーランスになる人には、それぞれきっかけとなるできごとがあると思いますが、私の場合はこの面談です。当時はショックを受けて「長時間働けない自分には価値がないんだ」と落ち込んでいたのですが、最終的には「勤務時間の長さで評価される仕事はしない」という決意につながりました。
子どものファンでいること。