メディカルライターとは—日本でもこれから注目される職業
こんにちは。アメリカ3年目のYukaです。
先日メディカル翻訳について書きましたが、今回はメディカルライティングについて書いていきます。
メディカルライティングにはいろいろな仕事がある
メディカルライティングの具体的な業務については、少し古いものですが、ヨーロッパメディカルライター協会(EMWA)の冊子に分かりやすくまとまっています(https://www.emwa.org/Documents/Resources/EMWA%20MW%20Career%20Guide%20Oct2016.pdf)。
メディカルライティングで作成されるものには、堅い文から順に、薬事規制文書(治験や医薬品・医療機器の製造販売に関連する文書)、医学論文や医学書の記事、学会資料、医師向け文書、一般や患者向けの文書、マーケティング資料などがあります。
すべてをこなすというよりも、その中からいくつか専門分野を決めている人が多いようです。
最近はメディカルコピーライターという言葉を聞くこともありますが、メディカルライターは堅めの文書、メディカルコピーライターは柔らかめの文書を専門にするライターを指しているようです。
メディカルライターになるにはいろいろな方法がある
日本では、メディカルライターになるために必須の資格は特にありません。
アメリカにはアメリカメディカルライター協会(AMWA)があり、研修や資格試験を提供していますが、それも必須の資格というわけではありません。
AMWAやEMWAを見ていると、ライティングを得意とする文系の人が医学の知識をつけてメディカルライターになる場合と、医療従事者(医師、看護師、獣医師、歯科医師、薬剤師など)が専門知識を活かして転職するまたは副業として始める場合に分かれるようです。
仕事を得るための方法としては、
製薬企業や医薬品開発業務受託機関(CRO)のメディカルライティング部門に就職する
メディカルライティングを提供する翻訳会社とフリーランス契約する
フリーランスでクライアントから直接仕事を受ける
という道があるようです。
英文を書く力や論文の執筆経験があると、採用時に優遇されるようです。
ライティングが好きな医療従事者はメディカルライターに向いている
内科医からメディカルライターを始めた私が感じている、メディカルライティング(主に論文と学会資料に関わっています)の魅力を紹介します。
1. これまでの経験を活かせる
学会発表や論文執筆の経験があり、その作業が楽しいと思っている人は、メディカルライターに向いています。
2. 完成したデータがすでに用意されている
自分で研究を計画してデータを集めるのは、時間のかかる大変な作業です。
メディカルライティングの仕事では、研究開始の手続き、研究そのもの、データの回収と解析などを飛ばして、すでに完成したデータをもとに書き始めることができます。
書くことが好きで、書くことだけに集中したい人におすすめです。
3. いろいろな分野の研究に関わることができる
クライアントごとに、違う分野の研究に関わらせてもらえるので、毎回新鮮な気持ちで取り組むことができます。
4. 質の高いものを完成させることができる
メディカルライティングでは、クライアント、他のライター、校正者など、たくさんの人と協力して作り上げることになるため、質の高いものを完成させることができます。
メディカルライティングの勉強方法
メディカルライターになるための資格はないと書きましたが、これを勉強すればメディカルライターになれるという教材もありません。
実際の仕事を通して学ぶのが一番ですが、経験がないと仕事にもつけないというジレンマがあり、そのことはAMWAの掲示板でもよく話題になっています。
AMWAが提供しているEssential Skills(全部で7冊、日本国内では電子書籍のみ購入可能)は、メディカルライティングに必要なスキルの基礎を身につけることができますが、やはり、これだけすればよいというものではありません。
メディカルライティングで使う英語について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください → 医学論文の英文を洗練させる—Plain Language
メディカルライティングの仕事で実際にどんなことができればいいのかは、こちらの記事をご覧ください → メディカルライターに求められる実践力
最後までお読みいただきありがとうございました。
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