枠組みを作ることが時短ライティングのコツ
こんにちは。メディカルライター&医師のYukaです。
メディカルライターとしてたくさんのクライアントとお仕事をしてきました。資料がすべてそろった状態で書き始めることもあれば、五月雨式にデータが提供されることもあります。どんな場合でも納期までに原稿を仕上げる必要があるため、できるところから作業を進めていくようにしています。
今回は、メディカルライターではない研究者や医師の方が自分で論文を書く際にもきっと役立つ、時短ライティングのコツをお伝えしたいと思います。
論文ライティングは「枠組みを作り、中身を埋めていく」という作業の繰り返しです。枠組みがあると、その後の作業に取り掛かるためのハードルが下がります。私が枠組み作りで行うのは、以下の4つの作業です。
1.投稿先を決めて、投稿規定(Author Guidelines)に沿ってテンプレートを作成する。
2.研究内容に関する代表的な論文をEndNoteに取り込む。
3.方法(Methods)と導入(Introduction)だけでも書く。
4.エクセルで表と項目を作成し、数値は後から埋める。
それぞれについて、もう少し詳しく説明していきます。
1.投稿先を決めて、投稿規定(Author Guidelines)に沿ってテンプレートを作成する。
投稿先を決めるのを後回しにしていませんか?最近はどの雑誌にも細かい投稿規定があるので、まず投稿先を決めて、始めからそのきまりに沿って書くことをおすすめします。たとえば、雑誌によって結果(Results)を先に書く場合と、方法(Methods)を先に書く場合があり、途中で変えると略語の定義や図表の順序などをすべて変える必要があります。また図表の数や、タイトル・抄録・本文の単語数(文字数)も雑誌によって違うので、途中で変えると面倒なことになります。共著者に相談して、書き始める前に投稿先を決めておきましょう。
投稿先が決まったら次にするのはテンプレートの作成です。Word文書に、投稿規定に沿って見出しをつけたり、文字の大きさや行間を設定したりします。私はそれぞれの見出しに投稿規定の内容をコメントとして追加しています。たとえば「Abstract」という見出しには「構造化または非構造化、構造化の場合の見出しの付け方、単語数、略語使用の可否」などをコメントとして残します。こうしておくと後から投稿規定を読み直す必要がなく、時短になります。
2.研究内容に関する代表的な論文をEndNoteに取り込む。
導入(Introduction)や考察(Discussion)に引用することが予想される論文をあらかじめEndNoteに取り込んでおきます。私はずっと無料のEndNote Webを使っていましたが、昨年末にデスクトップ版のEndNote 21を購入しました。それからはEndNote WebとEndNote 21を同期して使っています。デスクトップ版のEndNote 21では書誌情報と論文PDFとの紐づけが簡単にできるので、後から論文の内容を確認したいときに、PDFをフォルダーから探し出す必要がなくなりました。
3.方法(Methods)と導入(Introduction)だけでも書く。
結果がそろっていなくても書けるのは方法(Methods)と導入(Introduction)です。研究計画書の内容を参考に、書けるところから書いていきます。
4.エクセルで表と項目を作成し、数値は後から埋める。
結果をどのように提示するかを考えるのに以外と時間がかかるので、表の枠を項目を作成しておきます。表を作りながら「用語の統一」についても考えておくと、後から楽です。
すべてのデータが手元にそろってから書き始めようとせず、あらかじめ枠組みを作っておくことで、短時間で論文を完成させることができます。まずは投稿先を決めて、テンプレートを作成するのがおすすめです。