読者にメッセージが伝わる分かりやすい英文の書き方
こんにちは。アメリカ生活4年目のメディカルライターと翻訳者のYukaです。
今日はCoursera(コーセラ)というオンラインラーニングプラットフォームにあるコースであるWriting in the Sciences(https://www.coursera.org/learn/sciwrite)のユニット1と2から、読者にメッセージが伝わる、分かりやすい英文の書き方を紹介したいと思います。
Courseraに登録することで、だれでもこのコースを無料で受講することができます。英語力が中級以上あり、英文を磨きたいと思っている人におすすめです。
まず次の3つのことを気をつけます。
✅余分な言葉を削り、一文を短くする
一文が長いと、読者が全体像を把握するのに苦労します。重複する表現や余分な言葉を削り、一文をできるだけ短くすっきりさせます。
✅強い動詞(strong verb)を使う
「強い動詞」というのは、be動詞やhave、make、get、giveなどのいろいろな場面で使われる「弱い動詞」の反対で、ある行為を正確に表現できる動詞のことです。
「強い動詞」を使うというのは、たとえばmake use ofではなくuseを使う、give permissionではなくallowを使うなどを指しています。
また、give permissionではpermitという動詞が名詞に変えられています。この「動詞の名詞化」にも注意が必要です。できるだけ「強い動詞」をそのまま使うようにします。
✅主語と動詞を近づけて、文の先頭に置く
英文は動詞から文の構造が理解できます。主語の説明が長くなり、いつまでも動詞にたどり着けない場合、読者を疲れさせてしまいます。
この3つを気をつけるだけで、かなり読みやすい英文になります。
さらに以下には、避けたほうがいいことを具体的に書いていきます。
❎受動態(受け身)の多用
受動態を使用した方がいい場面はもちろんありますが、科学論文では受動態が使われすぎる傾向があります。
「因果関係を曖昧にしたり責任を回避したりするために受動態を使っていないか」と振り返る必要があります。
日本語では、受け身の表現が違和感なく使われている(←これも受動態ですね)ことが多いです。そこで英文を書くときには、日本語をそのまま訳すのではなく、できるだけ能動態に変えるようにします。
❎There is/are構文を含むbe動詞の多用
はじめに書いたように、「弱い動詞」であるbe動詞の代わりに「強い動詞」を使う方が、明快な文になります。
❎副詞の多用
文の意味を変えない副詞は削ってしまいます。また副詞の意味が含む「強い動詞」があれば、それに置き換えます。
❎否定形(not)の多用
否定形は分かりにくいので、科学論文では避けるようにします。たとえばdid not succeedをfailedとする、not clearをunclearとするということになります。
特に二重否定は避けるようにします。
❎曖昧な形容詞の使用
このコースで何度も出てきて記憶に残ったのは、importantを使わないということです。
科学論文ではとにかくimportantという表現を使いたくなるものですが、考えてみると非常に曖昧な表現です。何かが大事であることを伝えたい場合は、どのように大事なのか、どんな影響があるのかを具体的に書くようにします。
❎ヘッジ表現の多用
ヘッジ表現という言葉を私も初めて知ったのですが、文頭にくる決まり文句(it is widely acceptedなど)や断定を避ける表現(may indicateなど)が含まれるようです。
日本語だと枕詞やクッション言葉とも言われますが、会話では衝突を避けて円滑なコミュニケーションに役立つこともあります。
科学論文ではメッセージを曖昧にする必要はないので、使わないようにします。そうすることで文も短くすることができます。
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どうでしたか?
このような避けたい表現は、雑誌にのっている論文にも多く使われているものです。論文を書くときに過去の論文を参考にすることは多いと思いますが、このような避けたい表現を身につけないように気をつける必要があります。
また全体に共通する「強い動詞」を使うためには、語彙力が必要になります。普段から、英文を読むときには動詞の使い方に目を光らせて、使えそうな表現をメモするといいかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。