医学論文を効果的に修正する方法
みなさんこんにちは。アメリカ生活4年目のメディカルライターと翻訳者のYukaです。
今日はアカデミックライティングを含め、文章を書くときに大切なプロセスである修正および編集のプロセスについて紹介します。
編集プロセスはわかりにくい
編集に関する用語は、日本語でも英語でもいろいろあり、それぞれがどのような作業を指しているのかわかりにくくなっています。
実際、同じ用語でも人によって違う作業を指している場合もあります。
また書籍(フィクション、ノンフィクション)、新聞や雑誌の記事、科学論文、ウェブサイトの記事など、文書の種類によっても必要な作業の種類が変わってきます。
Editorial Freelancers Association(EFA)のウェブサイトを見ると、編集作業が細かく分けられていることがわかります。
日本語でよく使われるのは校正と校閲
日本語では「校正」と「校閲」という言葉が使われることが多いです。校正(英語はproofreading)は文章の誤りをチェックし、校閲(英語はcopy editing)は内容の誤りをチェックすることを指しています。
医学論文では校閲が十分に行われていない
医学論文では、著者と共著者、ネイティブチェッカー、査読者、編集部の4段階で校閲・校正をすることになります。ただ、どこでどの作業をするのかはかなりあいまいです。
そのため、他の出版物と比べて、内容のチェック(校閲)がきちんと行われていないことがあります。
ネイティブチェッカーや編集部が行うのは、通常は文章のチェック(校正)のみになります。
そのため、論文の内容に誤りがないか、投稿前に著者自身がしっかり確認しておく必要があります。
そこで、実際に医学論文の修正をどのように行っていけばいいのか、4段階に分けて説明します。これは日本語、英語の両方の場合に当てはまる内容です。
1. スタイルチェック
雑誌の投稿規定(オーサーガイドライン)に沿って書かれているか確認します。
本文の構成(項目、文字数)
図表の作成方法
引用文献の記載方法
2. マクロエディティング(Developmental/structure editing)
段落単位で論文全体の構成を確認します。
一段落に1つのアイデアが述べられているか
アイデアが別の場所で繰り返されていないか
論理展開に問題はないか
追加すべき情報はないか
3. マイクロエディティング(Line editing/copy editing)
文章単位で細かく確認します。
プレイン・ランゲージのコンセプトに沿った、明確で簡潔な表現になっているか
まわりくどい表現、余分な言葉はないか
図表、本文、抄録の内容に矛盾がないか
用語が統一されているか
医学論文で使う英語についてはこちらの記事をご覧ください。
Plain Language(プレイン・ランゲージ)を使って読んでもらえる文章を書く
4. レファレンスチェック
引用文献が正しいか確認します。
記載された情報が引用文献に書いてあるか
引用の引用になっていないか(一次資料を引用しているか)
このような順序で修正を進めていくことで、質の高い論文を投稿することができます。